発展途上国支援としてのコミュニティデザイン@フィリピン・マニラ 第二回「老人のいない町」

■2013年05月08日

第二回「老人のいない町」

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現地の行政の住宅局が実施した「ウリアン地区と周辺での生業の調査」では、廃品回収、サリサリ(ミニストア)経営の次に、炭焼き職人が多いという結果が出 ているそうです。「ウリアン」という言葉はタガログ語で「炭焼き人の地区」の意味。それだけこの場所で炭を焼いて生計を立てている人が多いということなのでしょう。フィリピンでは家庭やお店で今もなお頻繁に炭が使われており、需要が多いため、少ないながらも安定した収入を得ることができる職業として定着しているといいます。

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「実は、マニラのスモーキーマウンテンの中で最も働き者で組織化が行なわれているのは炭焼き業者たちと言われています。収入が比較的安定していて生活手段を持つがゆえに結束力があり、そして純粋に炭を焼き続けたいと願っている。しかし、2012年に住宅局が行なった年齢別調査では、ウリアン地区には45歳 以上で健在の人がほとんどいないということがわかりました。また45歳以下の人々も、その多くが結核や喘息などの肺疾患や心臓の疾患、眼の疾患を抱えていることが明らかになったのです。
彼らが炭を焼く窯は最も原始的なもので、24時間煙を垂れ流し続けています。二人で実際に現地を視察した際は、その場所に1時間いただけで咳や眼の痛みが止まらなくなるほどでした。そんな環境で生まれ育った人々は、12歳になるまでに健康が永久に損なわれてしまうとされ、その結果45歳程度で寿命がきてしまう。また周辺の住民への影響も拭えず、環境汚染にも繋がる問題でもあります。

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彼らの多くは田舎で仕事がなく飢えた末に家族で移り住んだ人達ですから、トイレもない10㎡の小屋に住み、健康被害に悩まされても、比較的安定した収入のある生活が捨てられないと言います。しかしたびたび見舞われるサイクロンによる水害なども相まって、住み続けることが限界と感じてもいました。廃品回収により生活を立てている人々はこの地から出ることは難しいですが、炭焼き業であればこの地でなくてもできます。また彼らが別の場所に移動することで、スモーキーマウンテンの住民たちも煙から開放され、生活改善の第一歩となるのです」。

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至る所にある炭焼き小屋。

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有害な煙が周辺の家々にも充満。
子どもたちへの影響も心配されています。

* * *

そこでお二人は、ウリアンの炭焼き職人で諸条件をクリアした人々を別の地区に移住させ、健康に害のない無煙窯を提供し雇用を作るプロジェクトを発案し、幸いそれは行政側からも支持されることとなりました。炭焼きを生業とする150世帯(約850名)と、同地区周辺の250世帯(約1500名)、合計約2300名を対象とした大規模なプロジェクトは、単純に移住させるだけで完結するものではありません。2012年8月のマニラ市の洪水の大被害でおびただしい数の死傷者を出したこの地区に行政もようやく本腰をいれて移住を進めるような方策を打ち出したのです。

「もしも移住した先で暮らしがなりたたなければ、彼らはまた戻ってきてしまいます。そこで、政府が用意した農村地帯に移住を決意した人々とともに協同組合を立ち上げ、無煙窯で炭を焼き、直接マーケティングまで取り扱えるようになれば、利潤も増えて生活もしやすくなるだろうと考えました。
支援の基本は、チャリティー(与えること)ではなく、現地の人々によって持続可能なコミュニティを構築すること。移住先で炭焼き職人と周辺の生業で構成される生産者協同組合を作り、経済的に自立した地区と安定したコミュニティを作り上げることを目標としています」。

マニラの経済発展に欠かせない存在であるスモーキーマウンテンの人々の自立の道を、どう切り開いていくのか。次回は、プロジェクトの具体的な内容についてお伺いします。(続)

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NPO法人カマルフリーダ ウェブサイト

カマルフリーダでは、炭焼き職人移住プロジェクトに際し、支援を募っています。

例えば、プロジェクトの要となる無煙窯は全部で15-20基建設する必要があり、
一基25万円もの費用がかかります。
また、用地となる400㎡の土地を買収するのに約100万円、
できた無煙窯を覆う屋根の設置には約500万円、
組合事務所の建設には、簡単なもので900万円程度の資金が必要となります。

これらの建設にご興味・ご協力をいただける方がおられましたら、
ぜひカマルフリーダまでご連絡をお願いいたします。

ご参画頂きましたおそれぞれの「モノ」にはお名前や会社名を掲載させていただきます。
またその写真を撮影しパネルにしてお送りしたり、カマルフリーダでもご紹介させていただきます。

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