経鼻胃管チューブ・PEGから注入できる半固形化栄養法の検討 
~とろみ調整食品を用いて~

■2013年02月27日

経鼻胃管チューブ・PEGから注入できる半固形化栄養法の検討
~とろみ調整食品を用いて~

△三鬼 達人 藤田保健衛生大学病院 看護部 摂食・嚥下障害看護認定看護師

はじめに

近年、わが国では半固形化状の経腸栄養剤を投与する「半固形化栄養法」が注目されている。半固形化栄養法は、経腸栄養剤を液体から半固形状に調整したもので、寒天やゲル化剤を用いる方法、とろみ調整食品を用いる方法、すでに半固形化状になった市販品を用いる方法などがある。効果としては、液体の経腸栄養剤に起因する胃食道逆流症(Gastro Esophageal Reflux Disease:以下GERD)や下痢、嘔吐などを予防・改善すると報告されている1-2)
これは、経腸栄養剤の形状を液体から半固形状にすることによって、生理的な消化管運動を誘発するためと考えられている。また、注入時間の短縮化により活動時間の確保ができ、ADLやQOLの向上にもつながるとされている3)。これらの利点から半固形化栄養法に関する報告は数多くあるが4-9)、径の細い経鼻胃管チューブ(以下NGチューブ)を用いた報告はまだ少ない。その理由として、GERDを予防できる粘度は20,000mPa・sと報告されているが、細いNGチューブでは物理的に注入が困難、あるいはできないためである。そこで、細いNGチューブからでも注入できるよう、注入時に液状を保てるとろみ調製食品を用いて、人工胃液内での形状変化および臨床での有用性についての検討を行ったので報告する10-11)

研究の概要


 

目的

1.とろみ調整食品を用いた半固形化栄養法の人工胃液内での検討

8Fr・NGチューブのような細いチューブからでも注入できるよう、注入時に液状で、注入後人工胃液内において20,000mPa・sの粘度が得られるか以下3点を確認する。

1-1.人工胃液に試料を入れるとどうなるか

1-2.人工胃液のpH値が高いとどうなるか

1-3.どの経腸栄養剤でも再現可能か

 

2.臨床での有用性の検討

人工胃液内での結果をもとに、NGチューブおよびPEGから注入できるか臨床での有用性を確認する。

1.‌とろみ調整食品を用いた半固形化栄養法の人工胃液内での検討

試料及び方法

(1)試料

・‌ハイネ®(株式会社大塚製薬工場)400mL+蒸留水100mL

・‌ネオハイトロミールⅢ®(株式会社フードケア)を上記試料に対して0.5、1.0、2.0%(2.5、5、10g)使用

 

(2)人工胃液

第14回改正日本薬局方崩壊試験法、第1液に準じ、以下の4種類を調製した。

人工胃液A:‌塩化ナトリウム2g、希塩酸を精製水で1,000mLに調製(pH1.2)

人工胃液B:‌人工胃液A+消化酵素ペプシン1g/L

人工胃液C:‌塩化ナトリウム2gを精製水で1,000mLに調製(pH6.0)

人工胃液D:‌人工胃液C+消化酵素ペプシン1g/L

 

(3)基本調製方法

1)‌ハイネ®400mL+蒸留水100mLを半量(250mL)に分け、一方にネオハイトロミールⅢ®を必要量(0.5、1.0、2.0%)添加して30回撹拌し、50mLカテーテルチップで8Fr・NGチューブから人工胃液AあるいはC(20mL)に注入する。

2)‌残り半量にも同処理を行い、追加注入する。

3)2)に人工胃液BあるいはD(280mL)を加える。

4)‌以後、5分毎に30回ゆっくりと撹拌する。

5)20分後、16メッシュの試験篩にて試料をろ過、その後5分静置する。

6)‌メッシュの上の残渣の粘度測定をする。

※測定条件:B型回転粘度計 12rpm、測定開始30秒後の値を測定値とする。

 

結果

1-1.人工胃液に試料を入れるとどうなるか(図1)

とろみ調整食品の添加量が 1.0%以上であれば、pH1.2の人工胃液環境下でGERDを予防できるとされる20,000mPa・s以上の粘度を得られることが分かった。
なお、同試料の人工胃液内に注入する前の常温下での粘度を経時的に測定したが、とろみ調製食品を加えて常温下で2時間静置しても、20,000mPa・sまでの粘度上昇は得られなかった(図2)。したがって、人工胃液内で得られた粘度上昇は人工胃液に注入することで得られた反応であることが分かった。


 

1-2.人工胃液のpH値が高いとどうなるか(図3)

図3 ‌人工胃液のpHが与える影響(ネオハイトロミールⅢ1.0%)

胃酸分泌がない、もしくは極端に少ない場合を想定し、人工胃液C,Dにて試料の粘度上昇を検討したが、篩から試料が通り抜けてしまった。これらから、胃内環境下のpHが高いと粘度上昇がほとんど得られないことが分かった。
※pH6.0の数値(右側)は、篩から通り抜けてしまった試料を測定したものである。

 

1-3.どの経腸栄養剤でも再現可能か(表1)

とろみ調整食品としてネオハイトロミールⅢ®1.0%を使用し、18種類の半消化態栄養剤について検証した。試料は全量を500mLとし、適宜水を加えた。

経腸栄養剤の種類によって人工胃液内での粘度上昇に差があった。18種類中13種類が20,000mPa・s以上の粘度上昇が得られた。

表1. 各試料の人工胃液内注入後の粘度

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