言いにくいところまで言いました!「オープン世代」座談会

■2014年10月29日

言いにくいところまで言いました!「オープン世代」座談会

image010休憩後の座談会では、先ほど発表した5人に加え、モデレーターとして同志社大学助教授の佐藤翔さんと、近畿大学に所属し、科学コミュニケーションに関する活動を行っている榎木英介さんが加わり、発表者同士による熱い意見が交わされた。

【佐藤】「政府の援助はあったほうがいいと思いますか?」

まず出た質問は、やはりというか、資金の問題だった。
個人として活動している堀川さんや山田さんは援助金については慎重な立場だ。

【堀川・山田】「政府の援助は、一回目は、まぁ、使ってみようかとも思うが、二回目からは活用方法が難しく、続かない」

それに対して、企業の代表である竹澤さんは違った意見だ。

【竹澤】「オープンアクセスジャーナルを運営していく上で資金は大事。学会へは資金の供給は行われているのですが、そこには企業はダメと書かれているんですね。国には、企業の株を買うなど、幅広い援助をして欲しいと考えています」

資金については、他にも様々な質問が出た。
ドネーション(寄付金)についての質問には、

【竹澤】「まず、論文を読んでもらって、そこから寄付のボタンを押してもらうシステムなんですが、まだ片手で数えられるほどしか寄付は行われていません」

と、竹澤さんはシステムの現状を語った。
それに関連してニコニコ動画のフィードバックシステムについても質問が出た。

【山田】「ニコニコ動画は再生数によって、ポイントという形で発表者にフィードバックするシステムなのですが、音楽関係など、人気のあるコンテンツというものがあります。研究という本来のものはあまり人気がありません」

【岩崎】「査読の対価について、どのくらいを想定していますか?」

岩崎さんは、査読はかなり時間を割かなければならない仕事で、常々報酬が発生すべきだと考えていたとして、竹澤さんにSPPの査読制度について聞いた。

【竹澤】「査読者の報酬については、ランク付けによる報酬制度を考えています。論文が受けた評価によってランク付けをし、そのランクによって査読者に報酬をキックバックしたいと考えています」

科学分野と他分野がいかに結びつくのか。

【駒井】「アウトリーチな学会ではなく、見るからに面白いと思えるようなモノを学会に取り入れたいと考えているのですが、なかなかうまくいかないという現状があります」

今回、アカデミアの側からの発表した駒井さんは、現在、芸術という他分野と交流を行う岩崎氏に質問をぶつける。

【岩崎】「科学者と美術家では問いの立て方が違う、ということを知らなくてはなりません。研究の場合、技術へ向かうことがゴールかもしれないませんが、芸術はプロセス自体が目的であったりします。彼らがどういった芸術家か知るために年月が必要なのです」

【堀川】「場所作りが重要です」

フリーの研究者としてどう生きていけばいいのか、という質問に堀川さんは答える。

【堀川】「サポーターや仲間がいなければ、フリーでやっていくことは難しい。研究がエキサイティングであるということを伝え、仲間を作り、研究していける場を作っていかなくてはならない」

【榎木】「オープンアクセスによって、ピペドが救われるんじゃないでしょうか」

アカデミア外で研究できる場所がオープンアクセスによって作られれば、現在冷遇されているピペド(ポスドクを揶揄するネットスラング)も精神的に解放されるのではないか、と榎木氏は期待する。

【竹澤】「色々な人がサイエンスに触れてくれればいいですね。高校生が論文を作って、そこで英語を学び、(オープンアクセスの)ジャーナルに触れてくれるようになっていけば、自然とブランドは生まれてきます」

年齢、性別、国籍に関係なく、誰でもサイエンスに触れることができ、同じ興味を持った人々が集まり、時に励ましあい、情報を共有する。そんなコミュニティの形成の手段として、オープンアクセスの重要さが認識されたディスカッションだった。

「こうしたオープンアクセスの動きは、今あるシステムを変えてくれるような、大きなうねりになるのではないかと考えます」
そんな言葉で、セミナーは締めくくられた。

こうして「オープンアクセスサミット2014」は未来へと向かう期待感を抱かせながら、その初日を終えたのである。(編集部)

 

講師紹介

・岩崎秀雄
早稲田大学理工学術院教授、metaPhorest(生命美学プラットフォーム)世話人(http://metaphorest.net/)。

・山田俊幸
明治大学米沢嘉博記念図書館勤務、ニコニコ学会β実行委員(http://niconicogakkai.jp/info/)。

・竹澤慎一郎
ゼネラルヘルスケア株式会社代表取締役(http://www.ghjapan.jp/)、SPP編集長(http://www.spp-j.com/)。

・駒井章治
奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科准教授、日本学術会議若手アカデミー委員会委員長(http://www.scj.go.jp/)。

・堀川大樹
慶應義塾大学SFC研究所所属、フリーの研究者としてむしブロを運営。(http://horikawad.hatenadiary.com/

・佐藤翔
同志社大学社会学部助教授。専門は図書館情報学、特に利用分析。

・榎木英介
近畿大学医学部。病理専門医、細胞診専門医。

前回「オープンアクセスサミット2014」に行ってきました



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