2013年5月10日 第85回日本消化器内視鏡学会総会 エキスパートセミナー8 新画像強調機能の効果とその可能性

■2014年07月02日

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2013年5月10日 第85回日本消化器内視鏡学会総会 エキスパートセミナー8 新画像強調機能の効果とその可能性

2013年5月10日、第85回日本消化器内視鏡学会総会に於いて、HOYA株式会社PENTAXライフケア事業部共催のエキスパートセミナー8「新画像強調機能の効果とその可能性」が開催された。本セミナーでは、PENTAX独自の画像強調機能であるi-scanの新たな機能であるOE(Optical Enhancement:光学強調)の有効性について、まず司会を務めた虎の門病院消化器内科内視鏡部の貝瀬満先生が技術背景を解説し、続いて岡山大学病院光学医療診療部の河原祥朗先生が咽頭と食道領域のOEによる症例を紹介し、東京大学医学部附属病院消化器内科の小田島慎也先生が胃と大腸領域のOEによる症例を紹介した。

 

HOYA株式会社 PENTAX
ライフケア事業部

 

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写真左:演者 小田島 慎也 先生 Shinya Kodashima 
東京大学医学部附属病院 消化器内科
写真中央:司会 貝瀬 満 先生 Mitsuru Kaise 
虎の門病院 消化器内科 内視鏡部
写真右:演者 河原 祥朗 先生 Yoshiro Kawahara 
岡山大学病院 光学医療診療部

OEの紹介

貝瀬 【司会】貝瀬 満 先生
Mitsuru Kaise
虎の門病院 消化器内科 内視鏡部

今回、HOYA株式会社(PENTAX)は、この学会に合わせて新機能を発表しました。
PENTAX独自の画像強調機能であるi-scanは、従来SE(Surface Enhancement:表面強調)、CE(Contrast Enhancement:コントラスト強調)、TE(Tone Enhance-ment:トーン強調)というモードがあり、新たにOE(Optical Enhancement:光学強調)が追加となりました。従来のSE、CE、TEはデジタル法による画像強調機能でしたが、OEは光デジタル法に分類され、通常の白色光とは異なる光を利用することで一般的に知られている狭帯域光観察と同等の機能として開発されました。そのOEの特徴は主に3つあります。一つは既に申し上げた光デジタル法という点。二つ目はMode1(図1)とMode2(図2)の二つのモードを有している点、特にMode2は他社にはない新しいコンセプトとなります。そして、三つ目はTwinモードにより、白色光の画面とMode1やMode2を同時に表示して比較しながら観察することができる点となります。

OEはモード毎に特殊なフィルターと専用の画像処理を使用しています。Mode1はヘモグロビンの吸収域にほぼ一致する二つの帯域の光を照射できるフィルターを採用しており、他社の狭帯域光観察に近いモードと言えます。一方Mode2の画像は一見すると白色光に近いのですが、Mode1の二つの波長域に加え、第三の波長として赤色の光が加わり、Mode1の強調効果に加え明るさが得られることで新たな観察手法としての可能性が期待されます。本セミナーでは、OE Mode1とOE Mode2の有効性を河原先生、小田島先生に発表していただきます。

 


食道と咽頭の症例からわかる新機能OEの有効性

川島【演者】河原 祥朗 先生
Yoshiro Kawahara
岡山大学病院 光学医療診療部

 
 

食道

まず観察の基本となる白色光観察ですが、PENTAXのシステムは十分な明るさがあり奥までしっかりと見渡すことができます。そしてOEを食道で使用する場合、Mode1では従来の狭帯域光観察と同等の強調された血管像が観察でき、またMode2では、白色光に近い自然な色味を保ちながら、血管を強調するような画像を得ることができます。

この症例はTwinモードでMode1を表示し、拡大内視鏡による診断まで行いました(図3)。血管の拡張・増生が観察され、表在癌という診断ができました。これは白色光観察のみでは診断が難しい症例であり、Mode1での効果が発揮された症例と言えます。一方Mode2での観察では、一見白色光に近いのですが、白色光に比べて病変部がやや黄色い領域として描出されます。更には異常血管なども白色光に比べ明瞭となります。食道のスクリーニングはMode1でも十分とは思いますが、Mode2では色味の違和感なくスクリーニングができると考えます。

こちらの症例では、通常の白色光でも異常血管をある程度確認できますが、Mode1を使用し、更に拡大観察を行うとより明瞭な異常血管が認められました(図4)。従来の狭帯域光観察では血管が2次元的な模様となりますが、OEでは明るさがあるため斜めから見渡すような3次元的な構造から血管模様を理解できるような画像が得られます。今後もエビデンスの積み重ねにより、より正確な診断に繋がると考えられます。


 

 

咽頭

次に咽頭の症例です。Mode2により黄色に描出されるエリアと異常に血管が拡張した部分を認められ、癌の広がりを確認できます(図5)。またMode1では、従来の狭帯域光観察のような画像が得られ、拡大観察すると、血管を良く認識でき、表在癌ということが判ります。本症例は白色光だけではわかりにくい症例でしたが、Twinモードにすることで、実は領域をもった表在癌ということが判りました。この症例は、右披裂部にBrownish areaが認識されますが、耳鼻科の内視鏡の狭帯域光観察では指摘できなかった病変を見付けることが可能でした。白色光でも少し赤味がかかっていますが、Mode2ではこの赤味が更に強調されますので、この部分は癌なのではないかと推測できます。ですから、食道咽頭領域においても、Mode2は白色光の代わりとして、スクリーニングにも使うことができるのではないかと考えられます。


 

 


まとめ

OEの食道咽頭領域における特徴としては、非常に明るく、扁平上皮癌の高い検出能を有することが挙げられます。更には拡大内視鏡を併用し、食道癌内の血管の拡張なども観察可能となり、他社にないTwinモードは通常のスクリーニングに使うことで効果を発揮します。そして、今までにない技術としてMode2がスクリーニングから精査までそのまま使えるような機能になると期待しています。今後の課題としては、現時点(2013年5月10日)でエビデンスが確立されていない点と経鼻内視鏡などOEが対応していないスコープがあることです。この技術を更に効果的にできる内視鏡が開発されることを希望します。

 

胃と大腸の症例からわかる新機能OEの有効性

小田島【演者】小田島 慎也 先生
Shinya Kodashima
東京大学医学部附属病院 消化器内科

 

はじめに、胃上皮性腫瘍に対する存在診断のためのOEの有効性を示します。
この症例は、白色光で凹凸の不整な領域としてまず認識できます(図6)。エキスパートの先生であれば、腫瘍の存在自体を認識することは容易かもしれませんが、内視鏡の経験の浅い先生の場合、白色光での観察では認識することもできない場合もあるかもしれません。また、この病変は存在を認識できたとしても白色光ではその範囲を診断することが非常に困難な病変と考えます。
この病変を、従来のデジタル法のTEで表示すると、明暗のバランスの影響で、スクリーニングには使い難いと考えられます。

次にMode1では、TEと比べて、腫瘍の範囲が色調の異なる領域として認識しやすくなってきており、IIb成分が広い範囲で伸びだしているのがわかりますが、若干暗い画像のため、Mode1はスクリーニング観察にはやや不向きと考えます。

一方Mode2は、白色光と同等の明るさを保ち、明暗のバランスもよく、スクリーニングにも十分使用できる画像強調機能であると考えます。この画像で特筆すべきは点は、腫瘍の領域が黄色調に変わって見えるというところです。結節の部位は白色光でも十分に認識できますが、IIb成分の領域は萎縮の部位との境界を認識することが出来ません。Mode2を使用すると、萎縮部分は白色光と同様の白色ですが、IIb成分は黄色調に変化し、色調の差によって腫瘍の境界がIIb成分の領域でも認識することができます。よって、この症例に関しては、正常と病変の色調差が増すことによって、病変としての認識が高まると考えられます。

次の症例は、病変が判りにくいですが、実は小さいIIa病変があります(図7)。従来のTEやOE Mode1でも明るさやコントラストの影響により、診断としては少し判り難いかと思います。OE Mode2では、周辺の粘膜で萎縮の領域が黄色く認識でき、その中に隆起が浮かび上がってきます。先ほどは萎縮したところが白いまま、病変が黄色みを帯びましたが、この症例は、病変の色調差がほとんどなく、周囲の萎縮部分が黄色く見えます。このような見え方の違いの原因は今後検討するべきですが、OEにより病変部と正常な粘膜の色調差が明確となり、有効性が期待できると考えられます。

病変の有無を存在診断した上で、質的診断、量的診断を行ないますが、VS classification (irregular MV/VS pattern)による診断では、血管パターンの認識が従来のデジタル法ではわかりにくかったと思います。胃がんのIIc(M/GC, 12mm, IIa+IIc, tub2>por2, SM2)の症例で、TEのいずれも、IIc成分の存在さえもあまり認識できず、認識できたとしても、血管の形態ははっきりしません。一方、Mode1では、正常粘膜の微細構造や、腫瘍部位の微小血管の認識が可能です(図8)。Mode2では、血管以外のところも赤味・黄色味を帯びていますが、血管を認識するためのコントラストが弱く、胃の精査をするのであればMode1が適しています。質的診断に関しては、血管描出能が高いMode1によって、VS classificationに準じた診断ができる可能性があると考えています。

 

 

大腸

大腸腫瘍性病変の存在診断に対する画像強調機能の有効性については賛否両論ありますが、従来のi-scanではコントラストが弱く、白色光を中心に診断を行います。顆粒型の側方発育型腫瘍(LST-G)の症例に対し、i-scanでの見え方を比較しました(図9)。TEでは、明暗のバランスの影響により、スクリーニングには不向きです。一方、Mode1では、管腔が狭いので明るく、正常粘膜と病変の色調の違いもわかり、スクリーニングでも十分に使える明るさがあります。しかし、スクリーニングであれば、Mode2の方が全体的に明るく、正常と腫瘍の色調差がわかりやすく、血管の認識にも使いやすいです。

大腸では、従来のi-scanに比べ、OE Mode1、OE Mode2では、白色光と遜色のない明るい画像が得られます。特にMode2では全体的に黄色味が見られ、腫瘍部分の色調の差が高まり、認識がしやすいです。一見正常そうなところもMode2により正常と腫瘍の色調差が増し、大腸に関しても、存在診断をMode2で行うと良いかと思います。大腸の質的診断、量的診断については、表面微細構造変化・表面微小血管の観察になりますが、従来のi-scanの画像強調技術と比較すると、Mode1では構造変化を診断でき、拡大内視鏡に併用して腺管開口部などの構造変化を認識することができます。従って、Mode1によって、表面の微細構造や微小血管を描出し、従来の画像強調診断に準じた診断が可能であると考えております。

 

まとめ

OEの一番の特徴は、2つのモードがあり、それぞれ存在診断、質的・量的診断に使い分けることができるということです。スクリーニングではMode2を使い全体を把握する、そこで見つけた病変をMode1で血管、構造変化を認識して診断をする、という使い分けです。今までにない画像強調機能ですので、これからエビデンスを積み重ね、診断の有効性を検討することが期待されます。

 


総括

貝瀬 【司会】貝瀬 満 先生 Mitsuru Kaise 虎の門病院 消化器内科 内視鏡部
i-scanの新しい画像強調機能OEについて、Mode1は従来の狭帯域光観察に近いものの、明るさがあり、色調変化についてはTwinモードで比べて見ることができます。また、全体を幅広く見渡したい症例、従来の狭帯域光観察で明らかな変化が見られない症例をTwinモードで見るとよいのではないかという話が河原先生からありました。Mode2については、PENTAX独特な機能であり、特に小田島先生の話のように、胃がんのIIbという非常にわかりにくい症例のスクリーニングで有用ではないかと提言があり、今後エビデンスを増やしていきたいということでした。ぜひ実機に触れ、見え方を体験していただきたいと思います。

 

会社概要

HOYA株式会社 PENTAX ライフケア事業部 医用機器SBU 日本営業本部

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