<ドクターエディ・ラボ>ジャーナルにおける査読と編集者の意思決定(4)ジャーナル編集者による最終決定

■2013年07月08日


 

アカデミック・コミュニケーションの教授、Dr. Eddyが医学論文のジャーナル投稿に関するイロハをやさしく解説するドクターエディ・ラボ。シリーズ5では、査読のプロセスからジャーナル編集者による最終決定まで詳しく解説します。
ジャーナルにおける査読と編集者の意思決定(4)ジャーナル編集者による最終決定 

 

シリーズ最終回の本記事では、査読者による審査のあと、ジャーナル編集者によってどのようなプロセスで決定されていくのかについて解説します。

 

(1)ジャーナル編集者による最終決定について

アクセプトかリジェクトかの最終判断をするのはジャーナル編集者によります。ジャーナルの編集者あるいは編集委員会により、査読者からのフィードバックを考慮に入れて最終決定に至ります。そのジャーナル編集者によって最も頻繁に下される決定にも様々ケースがあります。

  • 変更なしで受理(アクセプト):ジャーナルは元々の状態で論文を出版するケース
  • 多少の改訂後に受理(アクセプト):ジャーナルは著者にわずかな変更を求め論文を出版するケース
  • 大幅な改訂後に受理(条件付きアクセプト):ジャーナルは、著者が査読者や編集者が提案する変更をしたら論文を出版するケース
  • 改訂と再投稿(条件付きリジェクト):ジャーナルは著者が大幅な変更をした後に再度その論文を意思決定プロセスを通し再審議する意向であるケース
  • 論文の不受理(完全なリジェクト):ジャーナルは論文を出版しない、または著者が大幅な改訂をしても再審議しないケース

ただし最初の項目「変更なしで受理」はめったにありません。2番目の決定「多少の改訂後に受理」は一般に著者が望むべき最善の結果です。
一方で、ジャーナルが論文を完全にリジェクトした場合、著者は同じジャーナルに再投稿しないよう、忠告を受けます。なぜならもしジャーナルが論文を再審議したい場合には条件付きリジェクトとしたはずなので、完全なリジェクトはジャーナルがその論文は大幅な改訂をしても出版基準や興味に合わないという決定を下したという意味になります。

 

(2)査読者と編集者の両者が同意するポイント

では、査読者と編集者は何が出版に値するのかという点について常に同意するのでしょうか?
編集者の意思決定における方針は、

  • 一人でも査読者がリジェクトを推奨した場合
  • 過半数がリジェクトを推奨した場合
  • すべての査読者がリジェクトを推奨した時のみリジェクトする場合

などまちまちです。

査読者らが同じ原稿に対し矛盾するフィードバックを与えることはよくあります1,2。あるジャーナルは論説で「査読者全員の合意はまれである」と述べたほどです3。矛盾したフィードバックの場合、ジャーナル編集者は結論に至る前に第三の査読者に論文を送ることを選択し、著者は査読プロセスの完了まで通常より長く待つことになることになる場合があります。

実際のところ査読者はリジェクトよりアクセプトを推奨する傾向があります3。したがって、実際に査読者によって出版を推奨した論文の多くを、ジャーナル編集者は出版する価値があるかどうか独自の見解に基づき結果をリジェクトします。
査読の役割はずばり“論文が出版されるべきかを決定する”という仕事よりも、むしろ“著者が原稿に磨きをかけるための手助けをすること”とみなされています。

 

(3)まとめ

一流ジャーナルは、「投稿数が膨大」、「ジャーナルの編集上重要視する点に適わない」、など様々な理由で、質の高い原稿でさえもリジェクトすることをしばしば強いられます4
査読者と編集者は何が明らかに出版に向け受理できないのかについては容易に同意しますが、何が出版価値があるのかを決めるのは、より難しい課題となっています。
最終的に、ジャーナルの編集者は論文の出版価値についての独自の見解と査読者のコメントを基に論文をアクセプトするか、リジェクトするかを決定します3

 

参考文献:

  1. 1.Rothwell PM & Martyn CN (2000). Reproducibility of peer review in clinical neuroscience: Is agreement between reviewers any greater than would be expected by chance alone? Brain, 123(9): 1964-9.
  2. 2.Ray JG (2002). Judging the judges: The role of journal editors (editorial). Quarterly Journal of Medicine, 95: 769-74.
  3. 3.Coronel R (1999). The role of the reviewer in editorial decision-making. Cardiovascular Research, 43(2): 261-64. doi: 10.1016/S0008-6363(99)00177-7.
  4. 4.Schultz DM (2010). Rejection rates for journals publishing in the atmospheric sciences. Bulletin of the American Meteorological Society, 91(2): 231-243. doi: 10.1175/2009BAMS2908.1.]

 

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